緋寒桜をみて、どんな印象を受けられますか?
私たちが見慣れているソメイヨシノや八重桜などに比べると、派手さはありませんが、色みは明るく、緋寒桜は濃いピンク色をしています。
中にはマゼンタに近いくらいの鮮やかなピンクもあって、花びらは完全に開き切るよりも少し閉じ気味のものが多いようです。
だいたい3つ4つの花が寄り添うように一緒に伸びていますが、どれも枝からぶら下がるように、下向きに咲いているのが特徴です。
その姿は控えめであり、寂しげであり、女性的な印象を与えます。
花びらの中を見てみると、きれいな黄緑色の雌しべと雄しべがピンクの花びらと鮮やかなコントラストを奏でています。
通常、桜は散る時、花吹雪となって辺り一面を薄い花びらの絨毯で埋め尽くします。 これも人々の目を楽しませた桜が、最後まで華やかに散りたいという印象を私たちに与えます。
しかし緋寒桜はガクの部分からもげるように、花事ボトッと落ちるのが特徴です。
うなだれた桜がまるで力尽きるように落ちるのは、ちょっと切ない感じもしますよね。
でも緋寒桜のかわいらしい姿は、私たちに「愛おしさ」を思い起こさせてくれることでしょう。
緋寒桜のテーマとして、「愛情・やさしさ」と「過去の傷を癒す」、「引き寄せや新たな出会い」というとてもあたたかなエネルギーを感じます。
植物ノート Materia Medica
日本人が愛し続けてきた花、桜。
美しくやさしい愛の色と、一瞬で散ってしまう儚さがわたしたちの心を惹き付けます。
- 学名
- Cerasus campanulata
- 別名
- 寒緋桜/緋寒桜/Taiwan cherry
- 科・属名
- バラ科サクラ属中国南部から台湾
- 原産地
- 沖縄、奄美
- 分類
- 落葉小高木
- 花期
- 2月初旬
- 花言葉
- 艶やかな美人
まだ寒い1月下旬から2月上旬に、奄美・沖縄で私たちの目を楽しませてくれるのが緋寒桜です。
釣鐘状の花が特徴で、他の桜とは違い、花は小枝いっぱいに並んで全て下向きに咲きます。
花の色は白から濃い桃色までさまざまですが、比較的鮮やかなピンク色をしているのでとても目立ちます。
花弁やガクもピンク色で、樹皮は暗褐色です。
通常春の花は、冬の寒い風の後、暖かい南風に吹かれて咲き始めます。
そのため、桜前線は南から北へと開花するのが一般的ですが、緋寒桜は逆で、北から南へ、山頂から麓へと咲いていくのです。
なぜなら桜は暖かさだけでは開花せず、冷たい北風に一度当たった時に初めて咲くからです。
緋寒桜ハーブの作用
桜のハーブというのはあまり馴染みがありませんが、漢方の生薬としても使われています。
咳、たん、はれもの、できものに対応するようです。
【鎮咳、発熱】
フラボノイド・サクラネチンと配糖体サクラニン、ゲンカニンと配糖体グルコゲンカニンなどの有効成分を含む緋寒桜。 桜皮(おうひ)を1日量15~20グラム、水0.6リットルを半量まで煎じて1日3回に分けて服用することで、咳を鎮めたり、熱を下げるなどの作用があることが知られています。
【二日酔い】
桜皮(おうひ)1日量5グラム、水0.4~0.6リットルを煎じて服用すると二日酔いが緩和され、飲酒の前に飲むと二日酔いの防止になるといいます。 また、魚肉の食中毒にも効果があるそうです。
【打撲時に塗布】
内服だけでなく、打撲をしてしまった時には、桜皮(おうひ)1日量15~20グラム、水0.4~0.6リットルを煎じて、煎じ液を患部に塗布します。
【安眠効果】
桜の葉を乾燥したものは、枕(まくら)のしんとして使用すると安眠効果があるようです。